東日本橋
 レディースクリニック

 東日本橋レディースクリニック

診察時間 10:00~13:00/15:00~20:00

HOME | バルトリン腺の腫れ

バルトリン腺嚢胞・バルトリン腺膿瘍

バルトリン腺

 
「腟の近くにしこりができて痛い」という症状の原因としてバルトリン腺膿瘍というものが考えられます。バルトリン腺というのは、腟の近くにある組織で、透明の粘液を分泌し、外陰部を潤す役目があります。腟の入り口近く、お尻に近い方の左右にバルトリン腺はあります。
 
炎症などが原因でバルトリン腺の入り口が閉鎖すると、分泌液が溜まり嚢胞を形成し、バルトリン腺嚢胞となります。 嚢胞に何らかの菌が感染するとバルトリン腺膿瘍となり、腫れて痛みを伴うため、治療が必要になります。 以前は性行為感染症のやクラミジアや淋菌が多かったのですが、最近では大腸菌など、比較的どこにでもいる菌が多くなっています。
 

症状

「バルトリン腺嚢胞」

小指くらいの大きさから鶏の卵くらいまで大きくなることもあります。 バルトリン腺嚢胞の場合は違和感程度で痛みを伴うことは余りありません。
 

「バルトリン腺膿瘍」

バルトリン腺に感染が起きると、強い痛みを伴い、歩くのも辛くなる場合があります。 自然に破裂して膿が出てくることもありますが、痛みがつらい時には治療が必要です。
 
 

治療方法

小さいバルトリン腺嚢胞で、違和感や痛みが無ければ経過観察することが多いです。
 
バルトリン腺嚢胞が感染して、バルトリン腺膿瘍となった場合には治療が必要です。
 

穿刺 針で穿刺し内容物を吸引します。

 費用 3割負担にて、約5,000
 

造袋(開窓)術  麻酔後、切開して穴をあけ、分泌物の通り道を作ります。

 費用  3割負担にて、約12,000
 

嚢胞摘出術 

バルトリン腺そのものを摘出します。入院が必要になるので、総合病院にご紹介いたします。
 
針で刺すだけであれば、数分で一番安く済むのですが、その代わりに再発率も高くなります。
そのため、再発を繰り返す場合には、造袋術(開窓術)をオススメします。
 
造袋術(開窓術)を行っても再発してしまう場合には、摘出術となることが多いのですが、負担も大きくなるため、「リングカテーテル法」を試してみるのも選択肢となります。
 

リングカテーテル法 

造袋術(開窓術)の後に再発する原因は、手術によって作った通り道が塞がってしまうことにあります。
カテーテル法では、通り道が塞がらないように細い管(カテーテル)を留置して、再発する確率を下げる治療法です。
 
ピアスの穴を固定するようなイメージなので、1か月ほど、小さなカテーテルがバルトリン腺の部分に残ることになります。
 
費用は、造袋術(開窓術)と同じで、12,000円前後(3割負担)となります。
ご希望時には院長外来をご予約下さい。
 

バルトリン腺膿瘍とはどのような病気ですか。バルトリン腺嚢胞とは何が違うのですか。

バルトリン腺は、女性の腟の入り口の左右にあり、性興奮時に性交をスムーズにするための粘液を分泌する小さな腺組織です。この分泌物の出口が詰まり、中に液体が溜まって風船のように腫れた状態を「バルトリン腺嚢胞(のうほう)」と呼びます。この嚢胞の中に細菌が侵入して感染を起こし、内部が「膿(うみ)」に変わって激しい炎症を起こした状態を「バルトリン腺膿瘍(のうよう)」と呼びます。

バルトリン腺膿瘍になると、どのような症状が現れますか。

最も代表的な症状は、腟の片側(特に斜め下側)の「非常に激しい痛み」と「急速な腫れ」です。膿瘍が大きくなるとピンポン玉から卵ほどの大きさになり、赤く腫れ上がって熱を持ちます。痛みが非常に強いため、歩く、椅子に座る、寝返りを打つといった日常の動作すら困難になります。炎症が強い場合は、全身の発熱やリンパ節の腫れを伴うこともあります。

なぜバルトリン腺に細菌が感染して膿瘍ができてしまうのですか。原因を教えてください。

大腸菌やブドウ球菌、連鎖球菌など、人間の皮膚や腸内に普段から存在する常在菌が、バルトリン腺の出口から逆流して侵入することが主な原因です。また、性感染症の原因菌であるクラミジアや淋菌が原因になることもあります。デリケートゾーンの不衛生、免疫力の低下、生理中のナプキンによる蒸れ、擦れなどが引き金になることもあります。

どのような検査で診断されますか。すぐに分かりますか。

婦人科の外来で行う「視診(医師が目で診る検査)」と「触診(指で触れる検査)」で、すぐに診断がつきます。腟の入り口の左右どちらかが明らかに赤く腫れ上がり、触ると強い痛みがあるという特徴的な所見から判断します。また、原因となっている細菌を特定するために、膿が排出されている場合はその一部を採取して「細菌培養検査」へ提出します。

バルトリン腺膿瘍は、お薬を飲むだけで自然に治ることはありますか。

初期の軽い炎症であれば、抗生物質や消炎鎮痛剤の服用で治まることもあります。しかし、すでに内部に膿がたっぷりと溜まって膿瘍が完成してしまっている場合、お薬の成分が膿の膜を通り抜けて奥まで届きにくいため、飲み薬だけで完全に治すことは困難です。一時的に症状が和らいでも、根本的な解決にはならず再発を繰り返すことがほとんどです。

病院ではどのような治療を行いますか。痛みはありますか。

最も効果的で即効性のある治療は、外来で行う「穿刺」または「切開排膿」です。腫れている部分に局所麻酔をした上で、注射針を刺して膿を吸い出すか、メスで数ミリメートル皮膚を切開して溜まった膿を完全に洗い流します。処置の瞬間は痛みを伴いますが、膿が外に出た瞬間に圧迫感が消えるため、それまでの激しい痛みが劇的に和らぎます。

切開した後は、日常生活でどのような注意が必要ですか。

切開した傷口は、再び膿が溜まらないようにわざと数日間は閉じないようにしておきます。そのため、処置後しばらくは膿や血液が混ざった分泌物が出ますので、生理用ナプキンを当ててこまめに交換してください。当日の入浴はシャワー程度にとどめ、処置後は処方された抗生物質を最後まで確実に飲み切ることが大切です。痛みが落ち着くまでは激しい運動や性交渉は控えてください。

何度も再発を繰り返す場合、どのような治療法がありますか。

バルトリン腺膿瘍は、一度切開して治しても、出口が再び癒着して詰まると高い確率で再発します。何度も再発を繰り返す場合は、切開した内側の粘膜と外側の皮膚を縫い合わせて、分泌物の新しい出口を半永久的に作る「造袋術(開窓術)」という手術を行います。これでも解決しない最終的な手段としては、バルトリン腺そのものを手術で全摘出する「バルトリン腺摘出術」を検討することもあります。

妊娠中にバルトリン腺膿瘍になってしまった場合、お腹の赤ちゃんへの影響や治療は大丈夫ですか。

妊娠中はホルモンバランスの変化や免疫力の低下、骨盤内の血流増加により、バルトリン腺が腫れやすくなります。放置すると感染が広がるため、早期の治療が必要です。妊娠中であっても、お腹の赤ちゃんに影響のない安全な種類の抗生物質を選び、必要に応じて外来での局所麻酔による切開排膿を安全に行うことができます。

予防するために、日常生活で気をつけるべきことはありますか。

まずはデリケートゾーンを常に清潔に保つことが基本です。毎日の入浴時には、刺激の強いボディソープでゴシゴシ洗うのではなく、ぬるま湯や低刺激のデリケートゾーン専用ソープで優しく洗い流してください。また、通気性の良い綿素材の下着を選び、生理用ナプキンやおりものシートはこまめに交換して湿気や細菌の増殖を防ぎましょう。免疫力を落とさないよう、十分な睡眠とストレスケアも効果的です。


※当院のバルトリン腺膿瘍に関する診療、検査および処置方針は、公益社団法人 日本産科婦人科学会などの各種ガイドラインや医学的根拠に準拠しています。痛みが非常に強い急性疾患であるため、外来での迅速な消炎処置と痛みに配慮した治療を最優先で行っています。より詳細な専門情報や医学的解説につきましては、公益社団法人 日本産科婦人科学会の公式ページをご参照ください。